
2025年1月17日に、最新 AR グラス「XREAL One」が発売予定です。XREAL は AR グラス業界でトップシェアを持つ企業で、2022年から日本で AR グラスを販売しています。
今までにも XREAL Air2 Pro というような製品が発売されましたが、今回発売される XREAL One はとんでもない進化を遂げて、AR グラスが広く認知されそうな可能性を秘めています。
ここでは、XREAL Air2 Pro と比べて何が進化してどう変わったのか解説します。
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外観

外観的には大きな違いはありません。レンズの透明度が違いますが、どちらも電子調光機能で、電気的に透明度を変えられます。
見た目場は一般的なサングラスのようなものですが、実際に AR グラスをかけると、サングラスよりもレンズが出っ張って見えます。
ノーズパッド
鼻の部分があたるノーズパットですが、XREAL One ではパッド部分だけを取り外せるように変更されています。
XREAL Air2 Pro では根本から交換しなくてはならず、交換難易度が高かったのです。
重さ
/ | XREAL One | XREAL Air2 Pro |
---|---|---|
重さ | 82g | 75g |
一般的な眼鏡の重さで言えば、軽いもので10g台、太いフレームのもので30gまでというイメージ。
一般的な眼鏡と比べると倍以上の重さになっていますが、AR グラスとしては軽い部類に入ります。
独自チップ

/ | Xreal One | Xreal Air2 Pro |
---|---|---|
チップ | XREAL X1 チップ | なし |
3DoF | 単体で可能 | 別売デバイスで対応 |
画面の距離変更 | 単体で可能 | 別売デバイスで対応 |
遅延 | 3ms | 20ms~30ms |
特筆すべき点は XREAL One で AR グラスとして初めて独自チップの XREAL X1 チップが搭載された事です。これによる劇的進化は見逃せません。
ポイントは、X1チップ搭載により、使用するまでの手間が大幅に減ります。
3DoF単体対応
第一に 3DoF 表示にグラス単体で対応しました。今までは基本は0DoFで、目の前に常に画面が表示されている状態でした。
3DoF とは画面が空間に固定された状態です。映画館のようなイメージで、首を動かしたら画面から目を背ける事ができます。
Xreal Air2 Pro でも 3DoF 表示は可能でしたが、Xreal Beam という別売デバイスが必要でした。別途費用がかさんでしまうのです。
画面の距離変更
グラスに映し出される画面の距離変更を Xreal One では単体で可能になりました。Xreal Air2 Pro では Xreal Beam が必要でした。
遅延
X1チップ搭載により、3msという低遅延を実現しました。Xreal Air2 Pro よりもおよそ1/10の遅延となり、劇的な進化です。
Xreal One ではチップで直接処理ができるようになり、3msという低遅延が可能になりました。
3ms といえば一昔前のゲーミングモニターに匹敵するレベルで、動きの早いコンテンツやゲームで真価を発揮します。
ディスプレイ
/ | Xreal One | Xreal Air2 Pro |
---|---|---|
ディスプレイ | SONY 0.68インチ Micro-OLED | SONY 0.55インチ Micro-OLED |
解像度 | 400万画素 1080p | 400万画素 1080p |
最高輝度 | 600ニト | 500ニト |
視野角 | 50° | 46° |
リフレッシュレート | 最高120Hz | 最高120Hz |
SONY 製 0.68インチ Micro-OLED を搭載し、独自の光学エンジンにより、ぼやけを排除、精度も確保されます。
AR グラスの解像度は発展途上ですが、400万画素 1080p はパソコンのモニターに匹敵します。
最大輝度は Xreal One で600ニトとなり、Xreal Air2 Pro とくらべて明るくなりました。2020年くらいのスマートフォンのレベルです。

リフレッシュレートはどちらも最大120Hzに対応していますが、通常はコンテンツが120Hzに対応していないと恩恵を受けられません。
Xreal One では興味深い説明がありました。フレーム補間技術で、動画のフレームレートを90fps、または120fpsに引き上げるそうです。
気になるのは「同一」フレームを挿入しているという事です。同じフレームを入れるだけでは滑らかになったりはしないと思います。なら、何故わざわざそんな事をするのかという疑問も生まれます。
Nvidia Geforce 系のグラフィックボードの DLSS のように AI によるフレーム補間技術が今の技術で AR グラスに入れられるとは思えません。
フルドメインの動的インテリジェントフレーム補間技術というものが、実際にどんな効果があるのか試してみないことにはわかりません。
IPD調整
IPD とは、瞳孔間距離です。簡単に言えば、左右の目の距離です。瞳孔間距離は人によって異なります。なので AR グラスをかけても3割の人は画面がぼやけたりキレイに見る事ができなかったようです。
Xreal One ではソフトウェアベースで IPD 調整が可能になり、誰でも鮮明な映像を見る事ができるようになります。
スピーカー・音質
/ | XREAL One | XREAL Air2 Pro |
---|---|---|
音質 | Boseによるチューニング | 第2世代サウンドシステム |
Xreal One では Bose によるチューニングが施された音響システムです。Bose と言えば、音響機器開発メーカーのパイオニアです。
Bose の音響技術により、クリアでバランスの良い音質が提供されます。
接続デバイスの制限
今までの Xreal Air シリーズでは、専用アプリ「Nebula」を使った上でグラフィックボードは Geforce RTX3060が推奨されており、ゲーミング PC 以外では接続するのが困難でした。
Xreal One ではグラフィックボードの制限はないので、接続する側のデバイスの性能は関係なくなります。すべて X1 チップで処理されるからです。
Windows 、Mac、Android、iPhoneなど、DP Alt Mode の映像出力機能があれば、USB Type-C ケーブルで繋げるだけで使えるという手軽さは魅力です。
ケースの大きさ
Xreal One では持ち運び用のケースが少し小型になりました。
価格
/ | XREAL One | XREAL Air2 Pro |
---|---|---|
価格 | 69,980円 | 59,980円 |
価格は1万円違います。これだけ劇的進化を遂げて、価格差が1万円というのは正直驚いていて、もっと上がるかと思っていました。
Apple Vision Pro のような50万は無理でも、Xreal One なら手が届く方も多いのではないでしょうか。スマートフォンレベルの価格になった事と劇的な進化で、より多くの人が AR グラスの世界に入るきっかけになるのではないかと思います。
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